福井県南越前町今庄の地域に根ざした診療所。今庄診療所のホームページです。

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今庄診療所での初期研修を振り返って

今庄診療所での初期研修を振り返って

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11月、今庄の山の木々が、日を追うごとに赤くなっていく、秋の真っただ中に、1ヶ月間お世話になりました。今庄診療所に来る前は、おそばをたくさん食べられて、一般的な内科の疾患の勉強を幅広くできたらいいなとぼんやりと今庄診療所での研修を想像していました。実際に今庄診療所にきてみたら、毎日が大変充実していて、先生に貸していただいた教科書も読み切れずに終わってしまったほどでした。
今庄診療所にきて1番最初に、今庄診療所の研修では面接の仕方などを学ぶことを中心に頑張るようにと助言いただき、1ヶ月間、先生方・看護師さんたちの背中をみて面接を学びました。
初期研修医としては、救急外来は担当させてもらうものの、一般外来診療をしたことはありませんでした。実際に外来診療に参加させてもらうと、先生方はすごくいろいろな頭を使って診療していることがわかりました。大学病院だと、一人の患者さんを心不全は循環器内科、糖尿病は内分泌内科、認知症は神経内科、骨粗鬆症は整形外科、白癬は皮膚科・・・と多数の各診療科がみていますが、診療所では一人の患者さんの全てをみているので、幅広い疾患の知識が必要とされます。それに加えて、患者さんの家族背景、患者さんの人柄も知っていて、外来中には雑談もして・・・それら様々なことを短時間の外来に濃縮させて、先生方は患者さんとの信頼関係を築いているのだとわかりました。師長さんは、病歴を把握しているだけでなく、「この患者さんはバスで帰るからこの時間までに診察を終わらせる必要がある」というカルテには載っていない情報も知っていて、その上で、患者さんと雑談もして、心不全の生活指導もしっかりされていて・・・とても密度が濃い外来でした。疾患以外の部分も広くみて、患者さんから信頼されている、地域医療を体感しました。
実際に1ヶ月間でしていたことのひとつとして、癌の末期の患者さんの在宅でのおみとりを指導していただいて、担当させていただきました。ケアマネさん、訪問看護師さんらと患者さんの現在の様子について連絡をとり助言を受けながら、私自身は週に3回患者さんのお家を訪問して診察しました。恥ずかしながら、今までの研修では、おみとりを自分で計画した経験はありませんでしたので、まずは、先生にお借りした教科書で、癌患者さんの今後出現してくる症状の経過や薬物治療を教科書的に勉強しました。それから、担当した患者さんは高齢・在宅・独居であり、ご自身では内服管理が難しいという状況を考慮して、使用する麻薬の種類を、初めて自分で選択しました。ロキソニンからにセレコックスに変更し、次にオピオイドの貼付剤に変更し、最後に24時間作用型の経口モルヒネを選択しました。また、この末期のおみとりの患者さんに関して症例カンファレンス開き、指導していただきました。症例カンファレンスでは、初めてBPSシートを使って行いました。BPSシートとは身体的・心理的・社会的問題の項目をプロブレムリストにあげる手法です。病気を治すのではなく病気を持ちつつどのように望む暮らを継続していくかを考えるため、心理的問題や社会的問題が身体的問題と同程度まで重要となってきました。今までは考えたことがない視点でした。症例カンファレンスでは、たくさんの方からのそれぞれ異なる意見が出たり、長く地域に根差している看護師さんからの耳寄りな意見を聞けて、地域でずっと患者さんをみてきているという熱い思いを感じました。
1ヵ月の間には様々な経験をさせていただきました。毎日の訪問診療で患者さんの生活に密着した医療を体験し、今庄地区健康診断で可愛いお子さんをたくさん診察し、訪問看護師さんの仕事に感動し、認知症介護者さんの会に参加し、初めて介護主治医意見書を作成し、今庄地区の防災訓練に参加し、インフルエンザの予防接種を幾度も経験し、デイサービスで元気な超高齢者の方々とお会いし、ケアマネさんの思いをお聞きし、保健師の先生に向けて禁煙の講義をさせてもらい、慣れない処方を間違えては事務さんに助けてもらい、健康的な給食を食べ、大好きなおそばを食べ、今庄の柿をたくさんもらって毎日のように食べ、古民家カフェ木の芽に連れて行ってもらい、敦賀に遊びに連れて行ってもらって恋みくじをひき、心音・肺音の診察を丁寧に指導してもらい、診療所長が24時間今庄の人々の健康を守っている様子を目の当たりにし、朝も夕もレクチャーしてもらい、かやぶき屋根を見に連れて行ってもらい、今庄名物・つるし柿をもらい、いつもフォローしてもらい、患者さんから元気をもらい・・・たくさん与えてもらいました。書ききれないです。
患者さんの生き様もみることで今後どのような人生を望むか考えていくこと、患者さんと患者さんの家族との関係をみつめること、患者さんの臓器や疾患だけをみるのではなく患者さんの人生に関わっていくつもりで診療していくこと、患者さんの人生をとおして関わっていくために病気という視点だけでなく健康・病気予防の視点をもつこと、周りの人に教えてもらう姿勢を大事にするように心がけること、自信をもって診察すること・・・今庄診療所で教えてもらった家庭医のエッセンスは、実際に家庭医を目指す人や、命に関わるメジャー科の専門医を志望する人にとってももちろん大きな学びとなると思いますが、私のように命に直結することが少ない臓器専門医を目指している人にとっては、これらの視点を教えてもらえる最後の機会だったかもしれません。記憶は薄れるとはいうけれど、1か月間繰り返して熱心に指導してもらったことは、忘れることはないです。今庄診療所で学ぶことができて、今まで気づいていなかった視点をたくさん与えてもらえて、今後の可能性を大きく広げることができて、本当に良かったです。疾患についての勉強でなくて、医師としての在り方をきちんと言葉にして教えてもらった、家庭医としての熱い姿をたくさんみせてもらえた、貴重な研修でした。
1か月間、診療所の職員の皆様と、今庄のみなさまには、大変お世話になり、ありがとうございました。家族や友人と一緒に、また、今庄に遊びに来ます。

平成28年11月 福井大学初期研修医2年目 匿名希望 福井市出身

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